TRPGのメカニクスを考察にするにあたって、TRPGを構成する要素について検討する。TRPGを含むあらゆるゲームは二つの要素、プレイヤーとルールが必要である。
なお、ルールとメカニクスとシステムは類似している概念だが、ここでは、ルールは共有する決め事のことで”従うべきもの”というニュアンス、個々のルールがもたらす”働き・機構”に注目した表現をメカニクス、種々のメカニクスが組み合わさってできるアルゴリズムから一定の機能を果たすよう組まれたものをシステムと呼ぶことにする。
TRPGの場合、プレイヤーがキャラクター(PC)を操作し、プレイヤーの一人が審判(ゲームマスター)となり、両者がルールに従って目的達成を目指すゲームと言える。ルールは、大別して以下の要素からなる(図1参照)。
図1 TRPGの構造概念図
- 世界(世界観):共有している前提。ファンタジー世界で冒険者となりエルフやドワーフとともに魔族と戦うことを前提としている、など。
- 目的:勝利条件。邪悪なドラゴンを倒し、財宝を手にいれるなど。
- 役割分担:個性を定義するキャラクターステータス、キャラクターメイキングのルール。器用な盗賊、博識な魔法使い、屈強な戦士、など。
- 障害:目標達成のために乗り越えるべき障害になるもの。切り立った崖、トラップ、敵ボスなど。
- 対立解消:障害と生じる対立を解消するためのルール。行為判定、戦闘ルールなど。
- 意思決定:どのようなプロセスで勝利条件を目指すかの方針を決めること。PCの能力や障害の大きさ、難易度など、様々なルール上の制約や有利不利、PCの性格や気分、誇りなどから、総合的に判断する。
- 不確定要素:ゲーム的要素。運、ランダマイザー。ダイスロールなど。