Journal of Amusement Mechanics

元TRPGプレイヤーがゲームシステムを中心に考察していきます。

副能力値_Sub-abilities

副能力値_Sub-abilities:キャラクターステータスのメカニクス

副能力値は、利便性のために能力値から算出されるパラメータである。副能力値を利用するメリットは、①プレイ中に変動(消費、消耗)するパラメータは能力値と切り離して管理したほうが使いやすい、②能力値をそのまま使用した場合と比較してゲームバランスを調整しやすい、③プレイ中によく使用する判定においては、あらかじめ判定に必要なボーナス値を算出していた方が進行がスムーズになる、などが挙げられる。ヒットポイントやマジックポイントのように変動するタイプと、戦闘ボーナスや能力値ボーナスのように変動しないものに分けられる。なお、Powers & Perilsの副能力値は20種類に及ぶほど多い。

  1. ヒットポイント_Hit Points(HP):生命力やダメージ耐性を数値化した変動型の副能力値で、ほとんどのシステムで採用されている。通常、ゼロになった時点で戦闘不能/死亡となる。能力値の体力_Constitutionから算出されることが多い。マジックポイントがないシステムの場合は、精神的なダメージもヒットポイントで代用されることがある。
  2. マジックポイント_Magic Points(MP):マナポイント、メンタルポイントと呼ばれる場合もある。気力や精神の耐久性を数値化した変動型の副能力値で、ファンタジー系のシステムでは魔法ルールとともによく採用されている。通常、魔法/特殊能力を使用した際や精神攻撃を受けた際に消費し、ゼロになった時点で意識喪失となる。能力値の精神_Mentalから算出されることが多い。
  3. 能力値ボーナス:能力値の特定の割合を算出し、判定や結果に加算(減算)する非変動型の副能力値。単独の能力値から算出するもの、複数の能力値をから算出するものがある。ボーナスが得られる能力値に到達するかどうかが重要になるため、キャラクターメイキングにおいて能力値を決定する動機の一つとなる。端数の処理(切り上げ/切り捨て)が問題になる場合もある。代表例はソード・ワールドの能力値ボーナスなど。
  4. 戦闘ボーナス:能力値ボーナスの一種で、戦闘時に頻繁に使用するボーナス値をあらかじめ算出しておき利便性を高めたもの。命中/回避/防御/魔法などの各種判定、あるいは与えたダメージへの加算(減算)ボーナスなどが挙げられる。特定の能力値ボーナスをそのまま使用する場合もあるが、複数の能力値ボーナスから計算して決定する場合もある。トンネルズ&トロールズの戦闘修正など。スタンダードRPGシステムでは、命中値/回避値/魔導値/抗魔値が用いられるが、物理攻撃ー魔法攻撃と攻撃ー守備がきれいに対応していてわかりやすく、能力値も平均的に活用されるよう設計されている。ベーシックロールプレイングにおけるダメージボーナスは、STR+SIZの合計値によって判定に使用するダイス自体が変化する点が特徴。
  5. セーヴ・ボーナス/抵抗力:セーヴ・ボーナスはセーヴィングスローに使用されるボーナスである。戦闘ボーナスと目的は類似しているが、トラップの毒/麻痺/石化などに対する抵抗判定は戦闘以外の冒険時にも使用される。ダンジョンズ&ドラゴンズやトンネルズ&トロールズなどの古典的海外TRPGでよく使用されており、D&Dの影響を強く受けているソード・ワールドでも生命抵抗力/精神抵抗力の形で活用されている。
  6. 移動力/行動値:キャラクターがどの程度移動できるかを表す非変動型の副能力値。戦闘時にどの程度離れた敵と白兵戦を行えるかの判断に使用する。能力値の敏捷_Agilityから算出することが多い。戦闘を行いながら移動できる通常移動力と、移動に特化した全力移動がある。移動力と行動順序の概念をまとめた行動値という副能力値もある。
  7. 技能点:ベーシックロールプレイで採用されている一種の変動型副能力値。キャラクターメイキング(成長)の際に、スキルの取得に利用できるポイントを取得できる。職業技能はEDUx20ポイント、個人的興味はINTx10ポイント。
  8. 正気度:クトゥルフ神話TRPG特有の変動型副能力値であり、システムがプレイの娯楽性を高めている好例。探索者がどれだけ正気(理性)を保っているかを表し、POWx5から算出される。ゼロになると探索者は発狂しプレイからの永久離脱を余儀なくされる。真理を探究するほど発狂しやすくなってしまう葛藤が醍醐味となっている。