Journal of Amusement Mechanics

元TRPGプレイヤーがゲームシステムを中心に考察していきます。

TRPGの系譜:Hârn Master(1986)

Hârn Master_ハーンマスター

  • 通称:No data
  • 初版:1986年(アメリカ)
  • 開発者:N. Robin Crossby/ Columbia Games
  • 世界観:ファンタジー
  • ワールド名:Hârn World
  • 通貨:silver penny
  • 目的:中世ファンタジー世界でリアリティを体験する
  • キャラメイク:生まれRC/家族R/能力値R/スキルC/装備P
  • パラメータ:能力値+スキル
  • 種族:Human/Sindarin (elf)/Khuzdal (dwarf)/その他
  • 職業:Farmer/Herdsman/Animal Trainer/Gladiatorなど
  • 能力値:Strength/Stamina/Dexterity/Agility/Eyesight/Hearing/Smell/Voice/Intelligence/Aura/Will/Morality(12個)
  • ランダマイザー:D100
  • 判定方法:下方判定(対象能力値の平均値×スキル倍率±補正)
  • クリティカル:一桁の出目が0または5で成功(~20%)
  • ファンブル:一桁の出目が0または5で失敗(~20%)
  • 無限ロール:なし
  • 戦闘時間:10秒/Round
  • 重量システム:あり(判定にペナルティ)
  • ヒーローポイント:なし
  • キーワード:Hârn World/負傷部位制
  • 参考文献:Wikipedia/大槌ぶんぶん/Bat in the Attic/TRPG.NET Wiki/WorldAnvile
  • プレイ歴:なし
  • 同時期の作品:ドラゴンクエスト

”ファンタジーRPGは3つの重要な要素「マスタリング」「ルール」「背景設定」が一体となったものである。最良の「ルール」と「背景設定」は、才能あるGMによるセッションを素晴らしいものにしてくれるはずだ。『ハーンワールド』は、ファンタジーRPGの「背景世界」に属する。RPGにおいては雰囲気が重要な要素であり、これこそが『ハーンワールド』の核心である。魔術を行使したり派手な戦闘が発生するとプレイヤーも一時的に忙しくなるが、叙事詩の創造に参加しているという感覚を与えてくれるのは徹底的に整合された世界設定なのである。”

(N. Robin Crossby, ハーンワールド 世界設定ガイド "序文"より抜粋引用)

「ハーンマスター」は11世紀頃の英国をモチーフとしたファンタジー世界「ハーンワールド」を体験することに特化してデザインされたリアル系TRPGである。カナダ人のN. Robin Crossbyによる緻密な世界設定によるリアリズムの追求が特徴で、中世ファンタジーの忠実な再現のために多くの能力値、職業、宗教、スキルなどが用意されている。改版とともにゲーム性とリアリティとのバランスが模索されているが、数多くの選択ルールをコアルールと分けることで、細かい設定によって生まれる複雑さを回避している。戦闘などで負傷した場合は、ヒットポイントではなく各身体部位の状態によって表現される。これは、Warhammer Fantasy Roleplayメタルヘッドなどにもみられるメカニクスである。また、一度受けた負傷を回復することはルール上難しく、戦闘での負傷から受けた感染症で死亡するなどの死と隣り合わせの状況はまれではない。ハーンワールドで生き抜くためには可能な限り危険な状況を回避する必要があり、プレイに現実性と緊張感を生んでいる。基本判定はスキル制を取り入れたパーセンタイルロールでありベーシックロールプレイングに近いが、最大20%という高い確率で決定的成功もしくは致命的失敗が発生する独特なメカニクスをとっている。