Journal of Amusement Mechanics

元TRPGプレイヤーがゲームシステムを中心に考察していきます。

TRPGの系譜:永い後日談のネクロニカ(2011)

永い後日談のネクロニカ

  • 通称:ネクロニカ
  • 初版:2011年(日本)
  • 現行版発売元:インコグ・ラボ
  • 開発者: 神谷涼
  • 世界観:人類滅亡後の近未来を舞台としたSFホラー
  • ワールド名:no data
  • 通貨:no data
  • 目的:生ける屍となった少女が自分たちの失われた過去を取り戻す
  • キャラメイク:記憶のかけらRC/暗示RC/ポジションC/クラスC/スキルC/強化パーツC/たからものRC/初期配置C/享年C/未練RC
  • パラメータ:強化パーツ+スキル
  • 種族:ドール
  • 職業(ポジション):アリス/ホリック/オートマトンなど
  • 職業(クラス):ステーシー/ロマネスク/タナトスなど
  • 能力値:なし
  • リソース:行動値+パーツ
  • ランダマイザー:nD10の最大値選択(通常n=1、強化パーツの利用でn=4まで追加可能)
  • 判定方法:上方判定(6以上成功)
  • クリティカル(大成功):11以上
  • ファンブル(大失敗):1以下
  • 無限ロール:なし
  • 戦闘時間:なし
  • 重量システム:なし
  • ヒーローポイント:なし
  • キーワード:ネクロマンサー・ドール/狂気点・狂気判定・対話判定/パーツ破壊/行動値・支援・妨害/カルマ・寵愛点/はらわた
  • 参考文献:永い後日談のネクロニカ公式サイト/ピクシブ百科事典/平方ワールド
  • プレイ歴:なし
  • 同時期の作品:魔法少女まどかマギカ

陰鬱な空気漂う終末の世界で少女のゾンビを作ったり改造したりする極めて悪趣味なTRPG。とことん人を選ぶが唯一無二のプレイ観を構築している。基本判定は1D10で6以上(50%)で成功というシンプルなもので能力値すらない。ただし、失敗してダメージを受けると基本的には体のパーツの何処かが破損して使用できなくなるため、重要なリソースである行動値の使い方という立ち回りをよく考える必要がある。強化パーツを”使用”することでダイスの数を増やして成功率を高められるが、ファンブルすると強化パーツが破壊されてしまうというリスクを伴う葛藤メカニクスとなっている。命中部位制とダメージによる弱体化は、サイバーパンクものだけでなく本作のようなダークな世界観とも相性がよくうまく適合しているのが興味深い。そのほかにも、精神的に追い詰められるごとに蓄積していく狂気点とそれを減らす手段の対話判定、カルマの達成による寵愛点の獲得などの様々なルールが、この狂気の世界観をうまく彩っている。