Journal of Amusement Mechanics

元TRPGプレイヤーがゲームシステムを中心に考察していきます。

Vampire: The Masquerade(1991)

TRPGの系譜:Vampire: The Masquerade_ヴァンパイア:ザ・マスカレード

  • 通称:V:tM
  • 初版:1991年(米国)
  • 開発者:Mark Rein-Hagen
  • 世界観:吸血鬼的現代ゴシックパンク
  • ワールド名:World of Darkness
  • 通貨:no data
  • 目的:吸血鬼となり吸血鬼ハンターや自分自身の獣の本性と戦う
  • キャラメイク:コンセプトC/氏族C/本性・外見C/能力P/技能P/訓えP/背景P/徳P/體血R
  • パラメータ:能力値+技能
  • 種族(氏族):Assamite/Brujah/Gangrel/Hecata/Lasombra/Malkavian/The Ministry/Nosferatu/Ravnos/Toreador/Tremere/Tzimisce/Ventrue
  • 職業:no data
  • 能力値:筋力/体力/敏捷/交渉/魅力/容姿/機知/知覚/知性(9種)
  • リソース:人間性/意志力/體血
  • ランダマイザー:nD10、n=能力値+技能
  • 判定方法:上方判定(難易度以上の個数カウント)
  • クリティカル:ダイス目10/自動成功、個数nが難易度以上の場合自動成功
  • ファンブル:ダイス目1/成功を1個分キャンセル
  • 無限ロール:なし
  • 戦闘時間:不定(3秒~3分/Turn)
  • 重量システム:なし
  • ヒーローポイント:なし
  • キーワード:
    • 負傷段階:強力な力持つ吸血鬼へのダメージはヒットポイントではなく負傷段階として管理される。
    • 體血:特殊能力の源となる血をどの程度蓄えているか。負傷段階回復(唯一の回復手段)・レベルアップ・グール化・人間らしくみせるなどに使用する。受け渡し可能。
    • 人間性人間性が低下すると吸血鬼は獣の影響を受けやすくなる。残忍で不道徳な行為は吸血鬼の人間性を低下させ、人間性がゼロになると絶え間ない狂乱状態になる。
    • ストーリーテラーシステム:nD10による判定を特徴とする汎用システム。メンタル/フィジカル/ソーシャル軸とパワー(環境を変える力)/フィネス(パワーを効果的に使う力)/レジリエンス(自分に行使されるパワーへの抵抗力)軸からなる9つの能力値にそれぞれ各1~5の能力値が設定され、これがロールに使用できるダイス数の基礎となる。
  • 参考文献:ヴァンパイア:ザ・マスカレード 日本語版 (TRPG series) ペーパーバック (アトリエサード
  • 同時期の作品:悪魔城ドラキュラスーパーファミコン版)

White Wolf社の展開する闇の勢力をテーマにしたWorld of Darknessシリーズの第一弾。同社の汎用システム、Storyteller Systemを採用している。ダンジョン探索や戦闘が中心だった当時のTRPGに対し、同一世界を舞台にしたシリーズもの、かつストーリーに重点を置いたシステムは例がなく、先駆け的存在となった。重厚な世界設定や豊富なサプリメントは「ストーリーを語り楽しむためには、詳細なディテールを持つ世界観を共有することが必要」との考え方からきており、Harn Masterと共通するコンセプトであるが、ファンタジーではなく現代もののTRPGでは異例であり、World of Darknessシリーズの特徴ともなっている。基本メカニクスはnD10で難易度以上のダイス目の個数をカウントするもので、Shadow Runで採用されたメカニクスが元となっている。Storyteller Systemの注目すべき特徴としては、類似した能力値の関係性が、精神性・肉体・社会性のそれぞれの項目に対して「変化を起こすパワー」「パワーをうまく使う」「他者のパワーに抵抗する」の軸で明確に定義されていることが挙げられる。